みなさん、口の中に銀歯は何本ありますか?
銀歯は保険適用が可能なため安価なことや、強度に優れているため、噛み合わせが強い奥歯にも使用できるなどのメリットがあります。しかし、実は海外では銀歯は使用しておらず、先進国で銀歯を入れるのは日本だけです。
その理由は、銀歯は「銀」だけではなく様々な成分が含まれており、それらの素材が人体に及ぼす悪影響が昨今では問題視されています。今回は、銀歯のリスクと影響についてお話しします。
目次
銀歯の種類
みなさんのお口の中にある銀歯には大きく分けて2つの種類があります。
金銀パラジウム合金
金銀パラジウム合金は、保険適用の中でも最も多く使用されている金属で虫歯を削ったあとの詰め物や被せ物に用いられています。金銀パラジウム合金には、銀50%前後・パラジウム20%・銅20%前後・金12%・その他イリジウムなど数%が含まれています。この中のパラジウムは、ニッケルやクロムと共に、金属アレルギーを引き起こしやすく、アレルギーの感作率は37.9%と最も高いことが分かっています。
アマルガム
アマルガムは正式には「歯科用水銀アマルガム」といいます。水銀・銀・スズ・銅・少量の亜鉛が含まれており、中でも水銀は50%を含んでいます。1990年代まで一般的に用いられていましたが、水銀が唾液によって溶け出し身体に悪影響を及ぼす可能性があるため、現在は使用されていません。しかし、過去に治療を受けた方は、アマルガムがお口の中に残っていることがあります。アマルガムは、より劣化しやすく錆びやすいため、銀歯よりも黒ずんでいるのが特徴です。
先進国では銀歯は使われていない!?
海外では虫歯の詰めものや被せものに金属ではなく基本的にレジン(歯の色に近いプラスティック素材)などを用いて治療をすすめます。ドイツやスウェーデンでは銀歯に使われる金銀パラジウム合金という成分が金属アレルギーなど体への悪影響をおよぼす可能性があるとして歯科での使用を禁止しています。免疫力が破壊され免疫不全を引き起こし、様々な病気を発症するリスクが高く、口腔がんや舌がんが、パラジウム合金と接触する部位に発症していることが多く観察されるため、発がん性の疑いがあることも使用禁止の理由とされています。
銀歯が及ぼす身体への影響
口腔内への影響
●汚れが付着しやすい
銀歯は金属ですが、傷がつきやすくその傷の中にプラークが付着しやすいです。プラークは虫歯・歯周病の原因となる細菌が存在しているため、虫歯や歯周病のリスクも高くなります。
●銀歯の下で虫歯になりやすい
銀歯は長期間の使用や噛む力によって劣化したり変形したりすることがあります。それにより歯と銀歯の間に隙間ができ、そこから虫歯菌が侵入して銀歯の下で虫歯が進行する可能性があります。
●歯周病が悪化しやすい
歯周病とは、お口の中の細菌が歯を支える骨を溶かしていき、最後には歯が抜け落ちてしまう病気で、様々な全身疾患を引き起こす原因となる可能性があります。銀歯と歯の境目は歯磨きでは落とすことが難しく、歯周病の原因となる菌が溜まりやすいです。
●歯ぐきが黒く変色する
長年銀歯を入れたままにしておくと、金属イオンが溶け出して歯肉に染み込み、歯肉が黒くなるメタルタトゥーを引き起こします。
全身への影響
口腔内は粘膜であるため肌よりもタンパク質(ケラチン)が少ないので、唾液に溶けてイオン化した金属が血液に入り込み、体中に影響を及ぼしやすく、臓器も含め体のいたるところに症状が現れる可能性があります。
●発がんの恐れがある
銀歯には発がんの恐れがある「クロム」、発がん性が確認されている「インジウム」が含まれています。そのため、ドイツやスウェーデンではすでに使用禁止にされています。EU全体もその傾向にあり、先進国では日本のみが警告もされないまま普通に治療として用いられています。
●金属アレルギーを引き起こす
金属から溶出した金属イオンが、体内のたんぱく質と結合し、その結果、新たなたんぱく質に変性します。体がそれを「異物」とみなすことによって、アレルギー反応が生じます。アレルギーの原因物質は血液の循環によって全身に回ることから、さまざまな部位に症状が出ることが特徴です。金属アレルギーの症状は、アトピー性皮膚炎、頭痛、めまい、喘息など100をこえる症例の報告があります。
●ガルバニー電流が発生する
口の中に2つ以上の金属があると、唾液が電解質となって電位差が発生し、電流が生じることがあります。これをガルバニー電流といいます。ガルバニー電流が発生することでビリっと感じたり、不整脈、頭痛、肩こり、舌痛、味覚障害が起きたりすることが報告されていてます。
金属を使用しないメタルフリー治療
メタルフリー治療とは、その名の通り金属を一切使用しない歯科治療のことを言います。メタルフリー治療の第一のメリットは、銀歯によるリスクをゼロにできる点です。現在、金属アレルギーに悩まされている人以外も大きなメリットが得られる治療法となっています。
金属の代わりに使われる修復材料には、「セラミック」や「ハイブリットレジン」などがあります。中でもセラミックは天然歯の色調、光沢、透明度を再現しやすく、見た目を極めて美しく仕上げることが可能です。また、歯質との適合性が高く、虫歯の再発リスク低い点も魅力のひとつです。
お口の中にある銀歯が気になる方は、メタルフリー治療をぜひ検討してみてください。
※歯のつめ物やかぶせ物の素材について詳しくはこちら
まとめ
銀歯は保険適用が可能なため安価なことや、強度に優れているため、噛み合わせが強い奥歯にも使用できるなどのメリットがありますが、体への様々な影響を及ぼしています。歯のかぶせ物や詰め物はデリケートなお口の中に長期間入れるものです。価格だけでなくそれぞれの特徴を理解したうえで選びましょう。
メタルフリー治療では、金属を使用せず、体への悪影響を防ぐことはもちろん、審美性を兼ね備え、長期的なお口の健康維持につなげます。ご自身のお口の中に入れる素材を選ぶ際にご検討ください。
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記事監修 Dr.多賀 俊仁
多賀歯科医院
院長 多賀 俊仁