大人になってからも歯並びは変わる!その原因とは?

大人になってからなぜか歯並びがどんどん悪くなってきてはいませんか?

実は、歯並びというのは永久歯が生え揃ってからも、不変ではなく日々変化しています。自然な歯の移動には、数年単位の時間がかかり、ほんの少しずつ動くため、歯並びの変化に気付く方は少ないです。しかし、自然な歯の移動以外にも歯並びが変わってしまう原因には、様々なものがあります。

今回は、大人になってから歯並びが変わってしまう原因についてご紹介します。

「前歯」の歯並びが変わることが多い

大人になってから歯並びが悪くなってきたと感じるケースで多いのは『前歯』です。大人になってからの「前歯」の変化には、主に次のような歯並びがあります。

1.前歯のねじれ(捻転歯)や詰まり

捻転歯(ねんてんし)や、歯が詰まったりすると歯磨きがしづらく、虫歯や歯周病のリスクが高まります。また、さらに空いたスペースに向けて他の歯が傾斜したり、移動してしまうこともあります。

2.出っ歯(上顎前突)

上顎前突(じょうがくぜんとつ)になると前歯が徐々に前方へ出てきて、唇を自然に閉じにくくなります。口が開きっぱなしの状態が続くと口内が乾燥し、雑菌が繁殖して口臭がしたり、虫歯や歯周病の原因となってしまいます。

3.すきっ歯(空隙歯列弓)

空隙歯列弓(くうげきしれつきゅう)は、いわゆる「すきっ歯」のことで前歯の歯間が広がってしまう状態です。すきっ歯の状態でいると、息が漏れてしまいやすく、発音のしにくさを感じることがあります。

大人になって歯並びが変わる原因 

◆歯周病の進行

歯周病というのは、歯を支えている骨がだんだんと痩せてしまう病気で、支える骨が少なくなるにつれ、歯をしっかりと支えられなくなり、歯が段々と動くようになります。そのため、歯周病がひどくなると、前歯が出っ歯になってしまったり、歯がすきっ歯になってしまうということが起こります。

◆歯ぎしり

睡眠中の歯ぎしり(ブラキシズム)によって顎にかかる力は、通常の食事時に噛む力よりもはるかに強いと言われています。そのため、歯ぎしりをすると、日常的に強い力が歯に加わり、歯がすり減ったり、歯が割れたりする事があります。歯ぎしりで前歯が変化する原因は、下顎の前歯の咬耗(噛み合わせが原因で歯がすり減ること)です。下顎の前歯がすり減ることで、噛み合わせが深くなり、前歯が出ているように感じます。

◆親知らず

親知らずが生える時期は人によりますが、20代以降でも生えてくることがあります。親知らずが隣の歯を押し出すと、歯並びが変わることがあります。埋まった親知らずがある場合も、生えようと手前の歯を押すことにより、歯並びがずれてくることがあります。日本人は特に顎の奥行きが狭く、親知らずがまっすぐ生えずに、斜めや横を向いて生えてくるケースが多いです。

◆歯を抜けたまま放置する

虫歯や歯周病で歯を失ってしまった箇所を放置している場合も歯並びが変化していきます。歯は空いたスペースを埋めようと自然に動いてしまうため、まっすぐ生えていた歯が傾斜することがあります。特に奥歯の喪失は前歯にも影響を与え、全体的な噛み合わせや見た目に変化をもたらします。

◆歯の治療を途中で中断する

歯の治療を途中で中断したり、詰め物や被せ物が取れた状態を放置していると、歯を失った場合と同様にできた隙間に歯が移動し、歯並びや噛み合わせが崩れてくることがあります。

◆生活習慣や

歯や顎の成長が終わった大人でも日々の生活習慣や癖に注意しなければ、徐々に咬み合わせや歯並びが悪くなる可能性があります。歯並びが悪くなる原因として下記のような生活習慣や癖があります。

◇口呼吸

口で呼吸する習慣があると、舌が正しい位置に保たれないため、歯並びに影響を与えることがあります。通常、舌は上顎に軽く当たっていることで歯並びを維持していますが、口呼吸によって舌が下がると歯並びが乱れる原因となります。

◇頬杖

頬杖をつくと、顎の関節や骨に強い力がかかるため、歯並びや噛み合わせに影響を及ぼします。 同じ方向でばかり頬杖をついてしまうと、歯並びはもちろん、左右の顔のバランスも損なわれる可能性があるので注意が必要です。 

◇偏った噛み癖

片方ばかりで食べ物を噛む習慣があると、噛まない方の顎や歯が発達しにくくなり、歯並びが悪くなる可能性があります。

◇爪を噛む

爪を噛む癖は、子どもだけでなく、大人になっても癖がなおらずに噛んでしまうという人がいます。 爪を噛むと歯に不自然な力がかかり、歯並びが悪くなったり、歯がすり減ったりする原因となります。

◇舌癖

舌を前方や側方に突き出す癖があると、歯に圧力がかかり歯並びが悪くなります。特に、前歯が出たり、前歯と奥歯の間に隙間ができたりすることがあります。

歯並びが悪いことは「見た目の問題」だけではない

歯並びが悪いと「見た目の問題」だけでなく、見た目以外にも様々な悪影響があることがわかっています。まず、歯並びが悪いと歯ブラシが細かいところまで行き届かず、虫歯や歯周病のリスクが高まります。また、噛み合わせの問題で顎関節症や咀嚼効率が低下するため消化不良を引き起こす可能性があります。他にも発音が不明瞭になることや、一定の歯に負担がかかる噛み合わせの場合、経年とともに歯や歯の根にダメージが蓄積し、歯が割れたり抜歯の原因となることもあります。

歯並びが気になったら早めに歯科医院に相談をしよう

歯並びを自分の力で治すのは基本的に難しく、放置しておいても自然に歯並びがよくなることはありません。さらに悪い生活習慣や癖は、改善しなければどんどん悪化してしまいます。歯並びが気になりはじめたら、悪化する前に早めに歯科医院、または矯正歯科に一度相談しましょう。歯並びが悪くなっている原因が自分自身が気づかない思わぬところに潜んでいるかもしれません。適切な対処を行うためには、歯並びが悪くなっている原因を早めに突きとめて改善することが大切です。

まとめ

実は、歯並びというのは永久歯が生え揃ってからも、様々な原因で変わってしまうことがあります。全て生え揃った後も歯並びは不変でなく日々変化しています。そして、歯並びが悪くなる原因は日常生活の中に潜んでいることが多く、小さな習慣が知らず知らずのうちに歯並びを変えている可能性があります。

歯並びが悪くなると見た目の問題だけでなく、様々な悪影響を及ぼします。大人になってからでも歯並びが悪くなってしまったと感じる場合は、早めに歯科医院または矯正歯科に一度相談しましょう。

記事監修 Dr.多賀 俊仁
多賀歯科医院
院長 多賀 俊仁

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