歯がしみる!虫歯と知覚過敏の違いとは?

みなさんは、今まで歯に突然ズキンと痛みが出たことはありませんか?

歯に痛みが出る原因は様々ですが、代表的なものに虫歯と知覚過敏があります。虫歯と知覚過敏は、どちらも歯が痛いという点では同じですが、原因や症状の出方が異なります。

そこで今回は、虫歯と知覚過敏の違いについてお話しします

歯の構造について

私たちの歯は、主にエナメル質、象牙質、セメント質、歯髄(血管や神経が通っている組織)で構成されています。歯が口の中に露出している部分を歯冠、歯冠より下の部分を歯根といいます。

  • エナメル質…歯冠部の表面を被っている人間の身体組織の中で最も硬い組織です。
  • 象牙質…エナメル質、セメント質の内側にあり、歯冠部から歯根部までの歯を形づくる組織です。
  • セメント質…歯根部表面を被っている組織で、歯根膜によって歯槽骨(歯を支える骨)と結合しています。
  • 歯髄…一般に神経と呼ばれる組織で、神経線維のほかに血管やリンパ管などが通っており、象牙質に栄養を補給しています。

「虫歯」は歯が溶けて穴があく病気

虫歯は、お口の中に住んでいるミュータンス菌などの虫歯菌が、食べ物に含まれている糖分を取り込んで酸を作り出して吐き出し、その酸によって歯が溶けて穴があいてくる病気です。一般的には、歯の表層部であるエナメル質にできた浅い虫歯ではそれほど痛みはありませんが、内部の象牙質に虫歯が及ぶとしみる痛みが始まり、さらに象牙質の深い部分やその奥の歯髄に虫歯が到達すると激しく持続的な痛みが起きていきます。

虫歯の原因

虫歯の原因には「虫歯菌(ミュータンス菌)」「糖質」「歯の質」の3つの要素があります。この3つの要素が重なった時、時間の経過とともに虫歯が発生します。虫歯の原因である虫歯菌は、プラーク(歯垢)の中で動きが活発になります。プラークとは、食べかすの菌が繫殖したもので、白い色をしており歯の表面についています。毎食後に歯磨きをして、プラークを取り除くことが虫歯予防の基本です。また、間食の頻度が高い人は、虫歯菌が活発に働く時間が長くなってしまい、虫歯ができやすいです。

「知覚過敏」は象牙質が露出して刺激を感じやすくなる状態

知覚過敏の正式名称は「象牙質知覚過敏症(ぞうげしつちかくかびんしょう)」です。虫歯や神経の炎症などの病的な状態が見当たらないのに、歯の感覚が過敏になっている場合が知覚過敏の状態です。通常、歯の神経は象牙質とエナメル質で覆われていて、外部からの刺激を感じにくくなっています。しかし、エナメル質がすり減ったりして内側にある象牙質が露出すると、歯の神経に近くなるため痛みや刺激を感じやすくなってしまいます。この状態が知覚過敏で痛みを感じる原因です。

知覚過敏の原因

知覚過敏の原因はさまざまですが、一般的には以下の2つのパターンに分けられます。

歯茎が下がっている

象牙質が出ている原因としては、まず歯茎が下がっていることが考えられます。歯茎は加齢や歯周病などによって下がってしまい、次第に歯茎に隠れていた部分の歯が露出していきます。象牙質がむき出しになっている歯根は外からの刺激をそのまま受けてしまうため、痛みが感じやすくなります。

歯ぎしりや強すぎる歯磨きで歯のエナメル質がすり減っている

強く歯ぎしりをしていると、次第に歯の表面がすり減ってしまうことがあります。歯の表面のエナメル質がすり減ることで中の象牙質が露出し、痛みを感じやすくなります。また、歯磨きが強すぎる場合も同じように歯の表面をすり減らしてしまうことがあります。歯磨きをするときは強く擦らず、優しく小刻みにブラシを動かしましょう。

知覚過敏と虫歯の見分け方

虫歯も知覚過敏は、歯が痛むという点は似ていますが、痛みの続く時間や強さなどが異なるため、患者さまご自身で判断可能なケースがあります。

◆痛みが続く時間

知覚過敏は刺激を受けた瞬間のみ痛みを感じます。それに対して、虫歯は細菌によって歯が溶けてしまっている状態なので、持続的な痛みを感じるのが特徴です。また、虫歯の痛みは軽い症状から始まり、時間の経過とともに重くなっていきます。日に日に痛みが増している場合は虫歯、同じ痛みが続く場合は知覚過敏の可能性が高いです。

◆歯を叩いた時

振動で痛みを感じるかどうかを確認することでも、虫歯と知覚過敏を見極めることができます。知覚過敏は、歯を軽く叩いてもほとんど痛みはありません。一方で虫歯は歯を叩くとジーンとした響くような痛みがあります。

◆歯の見た目の違い

知覚過敏が歯肉退縮によるものなら、歯茎が下がっているなどの兆候を発見できる可能性があります。ただしエナメル質が摩耗しているケースなどは見つけるのが困難です。虫歯の場合は、歯が黒ずんでいたり、小さな穴が開いたりしている可能性がありますが、知覚過敏の歯はこれといった変色が見られません。

歯に痛みを感じたら放置せず歯科医院へ

虫歯と知覚過敏で歯が痛んだりしみたりするのは、歯からのサインです。虫歯も知覚過敏も症状があれば放置しておくのではなく、歯科医院を受診して適切な治療を受けましょう。どちらも早めに適切な治療を受ければ、ひどくならずに症状を改善させることができます。特に虫歯は放置すると進行してしまう病気のため、痛みやしみるなどの症状があればすぐに歯科医院に行って見て頂くことをオススメします。

まとめ

虫歯や知覚過敏は、どちらも痛んだりしみるという点では症状が似ていますが、原因や症状の出方に違いがあります。痛みが日に日に増している場合は虫歯、同じ痛みが続く場合は知覚過敏の可能性が高いです。

2つのお口の病気を理解して、虫歯や知覚過敏にならないように日々のケアを行いましょう。知覚過敏は強すぎるブラッシング圧も影響します。歯を磨くときはゴシゴシと強い力で磨かずに、優しく小刻みにブラシを動かしましょう。

虫歯や知覚過敏も早めに適切な治療を受けることで、症状を改善することができます。歯の痛みやしみるのを感じたら自己判断せずに、一度歯科医院を受診しましょう。

記事監修 Dr.多賀 俊仁
多賀歯科医院
院長 多賀 俊仁

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