歯石は2種類あるのを知っていますか?

歯医者さんへ行くと「歯石がついていますね」と言われることはありませんか?

この歯石をそのまま放っておくと歯周病、口臭などのトラブルを引き起こす恐れがあり、なるべく早めに除去する必要があります。

そもそも歯石とは、一体なんでしょうか?

歯石は歯垢(プラーク)が石灰化したもの

歯石とは不十分な歯磨きのため、長時間除去されていない歯垢(プラーク)と唾液中に含まれるカルシウムやリンが結びついて形成された塊(石灰化物)のことです。歯石は、成分の約80%はリン酸カルシウムですが、そのほかにタンパク質、炭水化物や細菌の死骸などからもできています。歯石そのものは、虫歯を引き起こしませんが、歯石の表面がざらざらしているので、そこに細菌が増殖し歯周病を引き起こします。個人差もありますが2~3日で石灰化し始め、やがて歯石へと変化すると歯ブラシでの除去は困難になります。

歯肉縁上歯石と歯肉縁下歯石の2種類

歯石は歯肉縁上歯石(しにくえんじょうしせき)と歯肉縁下歯石(しにくえんかしせき)の2種類あります。歯茎より上にできる歯石は歯肉縁上歯石、歯茎より下にできる歯石は歯肉縁下歯石と呼ばれています。それぞれの歯石は形成されるスピードや見た目など特徴に違いがあります。

歯肉縁上歯石(歯肉より上にできる)

歯肉の上にあり、歯垢(プラーク)と唾液中に含まれるカルシウムやリンが結びついて形成された白色または黄色の歯石です。唾液線の開口部近くにできやすく、わずか2日間で歯垢が歯石になることがあります。歯石になるとブラッシングでは取り除く事ができないため、ハンドスケーラーや超音波スケーラーと呼ばれる歯科用の器具を用いて除去します。

・黄白色または灰白色
・唾液によって石灰化する
・縁下歯石より量が多く形成が早い
・縁下歯石より柔らかく除去しやすい
・歯肉炎の原因になる

歯肉縁下歯石(歯肉より下にできる)

歯肉縁下歯石は、歯と歯肉の間の溝(歯周ポケット)に面した歯根面に付着した歯石です。歯周ポケットからの滲出駅や血液により黒褐色になります。歯肉縁上歯石に比べると形成速度は遅いですが、密度が高く固着力も強いため除去が困難になります。歯肉縁下歯石は、ルートプレーニング(SRP)という処置で歯周ポケットの奥深くにある歯石を除去します。歯石を取るほか、歯周病菌に汚染された歯のセメント質を除去して歯根の表面を滑沢にします。ルートプレーニングなどを行っても歯肉の状態が改善されない場合は、フラップ手術という外科手術が行われます。フラップ手術は歯肉を切開し、歯周ポケットの奥にある歯石を直接取り除く治療法なので、歯石を徹底的に取り除くことが可能です。

・黒褐色
・歯肉からの出血が原因
・歯肉溝滲出液が石灰化に強く関与
・縁上歯石より量は多くない
・縁上歯石よりかなり硬く、除去が難しい
・歯周病の原因になる

縁下歯石を放置すると歯周病リスクもUP

縁下歯石の中にはたくさんの細菌が住んでいるので、付着すると歯肉の炎症が酷くなり、縁下歯石とその中に住む大量の細菌が歯周病の一番の原因で、縁下歯石が溜まると歯垢(プラーク)が付着しやすくなるので更に縁下歯石が溜まり、歯周ポケットもどんどん深くなります。深くなった歯周ポケット内のたくさんの細菌は、歯肉に炎症を起こすだけでなく、やがては歯を支える大事な土台である歯槽骨まで溶かしてしまいます。歯槽骨が溶けてしまうと歯の支えが弱くなってしまうので、支えを失った歯はグラグラと動揺するようになり、最終的には自然に抜け落ちてしまいます。縁下歯石をそのままにしておくと歯周病はどんどん進行してしまうため、軽度の段階で除去しておきましょう。

歯石がつきやすい場所

歯石は下の前歯の裏側や上の奥歯の外側など、唾液腺の近くにある歯につきやすい傾向があります。歯石は一度付着すると歯磨きでは落とすことはできないので、歯石になる前にケアすることが大切です。日頃からこの部分を意識しながら歯磨きし、歯石の元である歯垢(プラーク)をしっかり除去しましょう。

歯石を予防するために・・・

歯垢が残りやすい場所は念入りに歯磨きをしましょう

歯と歯の間や噛み合わせ面、歯と歯茎の境目は、歯垢が残りやすい場所になります。歯垢が残っている箇所は最終的に歯石になってしまいます。
歯ブラシの毛先が届くように心がけて、適切な力でブラッシングすることをこころがけましょう。

歯間ブラシやデンタルフロスを併用すると歯垢除去がUP

食べかすは約24時間で歯垢になりそのまま放置してしまうと歯石になってしまいます。歯ブラシだけで磨く場合の歯垢除去率は6割程度と言われており、歯と歯の間の汚れが残りやすくそのまま歯石になってしまいます。しかし、歯ブラシと一緒に歯間ブラシやデンタルフロスを併用する事で除去率が8割から9割程度までUPします。詳しくは、以前に歯間ブラシとデンタルフロスの正しい使い方という記事をご紹介しているので、よろしければこちらもチェックしてみてください^ ^

定期検診も忘れずに行きましょう

歯石になってしまうと、歯磨きだけでは除去することが難しくなります。どんなに歯石がつかないように心がけていても、どうしても磨ききれない汚れは出てしまいます。そのため数ヶ月に1度、歯医者さんでお口の中の状態をみてもらうことは非常に大事です。歯の定期検診の目安は3ヶ月に1回程度ですが、患者様のお口の状態によって頻度は変わるので、かかりつけの歯医者さんに判断してもらうことをおすすめします。

まとめ

お口の中から、100%完全にプラークをなくすことは難しく、数か月程度でたいていの方には歯石が沈着してきます。定期的なクリーニングで自分では見えにくい歯石も除去して虫歯や歯周病を予防しましょう。

何より大切なのは、毎日のセルフケアで歯垢を除去して、歯石をなるべく作らせないようにする事です。歯ブラシと一緒に歯間ブラシ、デンタルフロスも活用していきましょう!

記事監修 Dr.多賀 俊仁
多賀歯科医院
院長 多賀 俊仁

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