意外と自覚していない!?「歯ぎしり」が及ぼす7つの悪影響

人は多かれ少なかれ、誰でも歯ぎしりをしているとも言われています。しかし睡眠中は、気づきにくく全く自覚していない方も多いです。歯ぎしりは、歯や顎だけでなく全身にも様々な症状を出すことがあるので注意が必要です。

歯ぎしりが起こる原因とはいったい何でしょうか?

歯ぎしりの原因

歯ぎしりがどのようなメカニズムで生じるのか現時点では詳しいことはわかってませんが、ストレス歯並びの乱れ噛み合わせ不良などが要因と考えられています。飲酒やストレスなどで眠りが浅いときに睡眠中の歯ぎしりが起こりやすく、肉体的・精神的ストレスを歯ぎしりをすることによって発散していると言われています。

このような症状はありませんか?

  • 朝起きたとき、あごにこわばりを感じることがある。
  • 肩こりがひどい
  • むし歯ではないのに歯がしみる 
  • 食事のときに口を開けにくいことがある。
  • 集中しているとき、無意識に歯を噛みしめている

以上のような症状がある場合は、歯ぎしりをしている可能性があります。

口腔内の悪習癖(ブラキシズム)は主に3種類

歯ぎしりの他にも、噛み締め・食いしばりなどの口腔内の悪習癖を総称してブラキシズムといいます。 ブラキシズムは、主に次の3つに分類されます。グラインディングやタッピングは、音がするので家族に指摘されることもありますが、クレンチングは音がしないので気付きにくく、発見が遅れやすいです。

①グラインディング

上下の歯を擦り合わせるタイプの歯ぎしりです。多くの人が行っている歯ぎしりはこのグラインディングタイプの歯ぎしりと言われています。ギリギリと音が聞こえるのが特徴です。

②クレンチング

上下の歯を強く噛みしめるタイプの歯ぎしりです。食いしばりや噛み締めはこれに該当します。大きなストレスなどがある時に歯を強く食いしばるのがこのクレンチングです。グラインディングと違ってクレンチングは音がしません。

③タッピング

上下の歯をリズミカルに合わす歯ぎしりでカチカチと音がするのがタッピングの大きな特徴です。比較的頻度の少ないタイプの歯ぎしりです。

歯ぎしりが引き起こす7つの悪影響

思いっきり歯を噛みしめた時、人間は約70㎏の咬合力だといいます。無意識下で歯ぎしりをしている時にかかる力は、人によってはなんと、1トン以上になる方もいるといわれております。

歯ぎしりは、強い力が無意識に継続して、歯や歯茎を支える骨やその周囲の組織に加わるため、さまざまな弊害や影響を及ぼします。

【歯への影響】

①歯がしみたり痛みが出やすくなる

歯ぎしりや歯の食いしばりによって歯にかかる力は、思っている以上に大きな力です。歯ぎしりで歯が少しずつ削られていくと、歯の表面のエナメル質が薄くなり、エナメル質の下の象牙質に刺激が伝わりやすくなり、知覚過敏を引き起こします

②歯がすり減ったり割れたりする

歯ぎしりによって歯の表面が欠けたり、歯自体が根元まで割れることもあります。虫歯などで神経をとっている歯や、年齢が経っている歯は割れやすくなっています。歯ぎしりの強い力が加わることで、歯の根元まで割れると、噛むたびに亀裂が広がり痛む事になります。

顎関節症になる(あごの痛みなど)

歯に力がかかり続けることで、あごが痛くなったり口が開けづらくなる顎関節症になることもあります。ギリギリと歯ぎしりをすると、下顎とつながる顎関節を傷めやすいため、顎関節症を引き起こすリスクが高まります。

歯周病が悪化する

歯ぎしりをすると歯を支えている骨にも力がかかり、骨が吸収されて歯周病が悪化することもあります。歯周病は歯周組織を破壊して歯をグラグラさせ、最終的には歯が抜け落ちてしまう怖い病気ですが、歯ぎしりによって強い力で揺さぶられることで、歯周組織が破壊されるスピードを速めてしまうのです。

【身体への影響】

頭痛

歯ぎしりや食いしばりにより、頭の横にある筋肉が緊張状態となります。この状態が続くことで頭痛が起こりやすくなります。

肩こり・腰痛

歯ぎしりをしていると噛む筋肉も緊張状態となり、この筋肉は肩や腰の筋肉ともつながっているため、あごの疲れだけでなく肩こり腰痛といった症状も出ます。

顔が大きくなったり、見た目が変わる

歯ぎしりをしていると噛む筋肉が緊張し、盛り上がることがあり、顔が大きくなったエラが張ったようにように見えるなど見た目にも影響を及ぼすことがあります。

歯ぎしりにはマウスピースがオススメ!

スプリント療法(保険適用)

歯ぎしりを予防したり、症状を改善したりする代表的な方法に、「スプリント療法」(保険適用)があります。これは、就寝時にプラスチックまたはゴム製のマウスピース(ナイトガード)を使用することで、歯や顎関節にかかる負担を軽減する方法です。素材は半透明のアクリル樹脂を使用し、患者さま一人ひとりの歯型にあわせて個別に成型します。

もともとの原因が歯の噛み合わせの悪さにある場合には、まず歯の治療や矯正を行う必要があります。患者さまのお口に合った治療方法をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

歯ぎしりは無意識にしていることがほとんどで、気づかないうちに常習化しているかもしれません。歯ぎしりをしていると歯だけでなく身体の不調も引き起こす恐れがあります。お口の事で気になる症状があれば歯科医院にできるだけ早めに相談しましょう。

歯ぎしりの緩和や、歯や顎を守るための対策として当院では、マウスピースを使ったスプリング療法をオススメしています。マウスピースの作成は保険適用できますので、お気軽にご相談ください。

記事監修 Dr.多賀 俊仁
多賀歯科医院
院長 多賀 俊仁

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